あなたの身近にも存在する?PFAS(永遠の化学物質)とは
前回のブログでは、RoHS規制の解説と当社の取り組みについて紹介しました。その中で、RoHS1からRoHS2への移行に伴い、規制物質が増えたことに触れました。今回は、今後規制の対象になる可能性がある「PFAS(ピーファス)」について解説し、当社の取り組みを紹介いたします。
PFASとは?
PFASは、人工的に作られた有機フッ素化合物の総称で、その種類は4,700以上もあります。PFASは、水や油をはじき、熱に強い性質を持つため、焦げ付きにくいフライパンや防水加工、食品の包み紙などの身近な日用品から、半導体、車、消火剤といった産業用途まで、1940年代より幅広く利用されています。
導入当初、PFASは非常に安定した性質を持ち、不活性で人体への影響はないと考えられていました。しかし、その後の研究で、ペルフルオロオクタン酸(PFOA)やペルフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)が体内に高濃度で蓄積されることが明らかになり、当初は健康への悪影響は指摘されていませんでした。しかし、その後の疫学的研究により、体内濃度と健康への悪影響の関連性が報告され、PFASは環境問題として注目を集めるようになりました。
PFOS(ペルフルオロオクタンスルホン酸)の分子構造
フッ素(F)と炭素(C)は非常に強い結合を持ち、これにより撥水性、耐熱性、耐紫外線性などの特性を発揮します。
ペルフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)
PFASのREACH規制について
2019年、欧州理事会は、PFASの健康への悪影響に関する証拠が増加していることを受け、PFASの不要不急の使用を排除する行動計画を策定するよう欧州委員会に要請しました。ドイツ、オランダ、デンマーク、ノルウェー、スウェーデンの5か国は、REACH規則に基づく制限案を提出し、PFASの製造、使用、販売、輸入を欧州全体で禁止することを目指しています。この規則案は2025年に発効する予定です。
10,000種類以上のPFASが規制対象になる可能性があり、規制が発効した場合、18か月の移行期間後に製造・販売・使用(輸入を含む)が制限されます。規制の対象には、焦げ付き防止の調理器具、スキー用ワックス、化粧品、洗浄剤などの消費財が含まれます。一方、医療機器や産業用途など、代替手段がまだ特定されていない一部の用途については、18か月間の移行期間に加え、さらに5年または12年の猶予期間が提案されています。
当社の取り組み
当社では、お取引先との情報交換や独自の情報収集を通じて、PFASが規制物質に追加された際に迅速に対応できるよう、準備を進めております。今後も引き続き情報を収集し、お客様に安心していただける製品とサービスを提供してまいります。